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矯正治療のトラブル&デメリット

読売新聞のコラム

2008年8月に読売新聞朝刊に読者から寄せられたコラムを掲載いたします

歯列矯正のリスク

☆上の画像が読みづらい方は下記の文章をお読み下さい。(記事通りの内容です)

他人に指摘されるほどではないのですが、子どものころから歯並びが良くありません。20歳代後半、歯科医に「年齢とともに歯並びは悪くなる」と言われて気になりだしました。自分で調べて歯列矯正を行う専門の歯科医院に行ったら、「虫歯ができにくくなり、口元も上品になる」など良いことばかりを説明され、歯列矯正を始めました。

当初の計画より2年も延びて4年もかかりました。無理な力で歯を動かしたことが原因か、数本の歯の神経が死んでしまい、顎関節症を発病し、今も悩まされています。

歯科医は、リスクについても十分に説明すべきです。多少、歯並びが悪くても健康に暮らしている人にとっては、メリットよりデメリットの方が大きくなる危険性があることも知ってほしいです。

当クリニックの矯正治療の最終ゴールは「患者様に満足していただくこと」です。
満足とは、患者様の治療後のイメージを満たしたり、イメージ以上の出来上がりになる事です。

ここで問題が生じます。
その患者様の治療結果をイメージすることは、これまでに数千症例こなしているので難しくありません。
しかし、患者様の頭の中の治療結果のイメージは、当然、患者様ごとに違うことなので、それを予測することはすごく難しいことです。(現実には不可能に近いです)
同じ治療結果でも、すごく喜ばれる方と、不満に思われる方がいらっしゃいます。

治療結果にご満足いただけない場合に、患者様が、高いイメージを持たれる原因には2通りあります。
1つめは歯医者の方が過度に期待を持たせるようなことを伝え、デメリットを十分に伝えていなかった場合です。
2つめは、クリニックやDrが十分にデメリットを伝えたにもかかわらず、患者様が過度の期待をしてしまい、最大限の治療結果でも満足してもらえない場合があります。

当クリニックでは、トラブルやクレームを極力回避するために、小さなデメリットもすべてお話ししています。
それでも、年間500人から600人の方に矯正治療をしていくと数年に1人ぐらいはクレームやトラブルになる事があります。
トラブルは確率的には約1000人に一人ぐらいの割合になります。

その中には、できない事を無理やりやらせようと恫喝してくる方もいらっしゃいます。
そういう方は、自分の思い通りにならなければ、腹いせに誹謗中傷をあちこちに言ったり、書き込んだりします。
医療には、できる事とできない事があります。できない事は、いくら恫喝されてもできません。
トラブルやクレームを極力回避していくためにも、当クリニックは治療におけるデメリットは積極的にお伝えしています。

長年、矯正治療というのは、子供の為の治療であるとか、一部の人だけがする敷居の高い治療だと考えられてきましたが、近年は日本でも欧米並みに矯正治療経験者が増えてきました。
矯正治療をする人と、矯正治療を行うドクターの増加で治療代も年々安くなり(それでもまだ高額ですけど・・・)、矯正治療に対する敷居はさらに低くなってきました。

一方、矯正治療を行う歯科医院が増え、クリニック間での患者様の奪い合いも激しくなり、患者様の立場としても、どのクリニックを選んでよいのか、とてもわかりにくい時代になってきました。
歯列矯正治療が多くの方々に受け入れられ、喜ばれる人が増えるのと同様に、歯列矯正治療に伴うトラブルが年々増加していることは非常に残念なことです。

歯科医師過剰時代に伴い、患者様の争奪戦が激しくなる今、トラブルを未然に防ぐ意味で、患者様にも冷静な見方をしてもらうために、あえて矯正治療に伴うデメリットを正直にお伝えいたします。

トラブルを防ぐ為には、メリット以上にデメリットも十分把握された上で慎重に治療する医院を決断されることをお勧めいたします。
そして、それでも過度のご期待をされる方は、どこで治療を受けられても必ずトラブルになりますので、矯正治療は回避されることをお勧めいたします。