location: ホームお役立ちQ&A> 矯正治療のトラブル&デメリット

矯正治療のトラブル&デメリット

5.治療結果の期待とのギャップによるトラブル

矯正治療においても、できることとできないことがあります。歯科医師として、本来「出来ないことは出来ない」ときちんと言うべきなのですが、歯科医師が増えすぎて患者様を奪い合う現状では、患者様が少ない医院ほど、できないことでもできるような説明をしてしまい、後々トラブルになることが増えてきています。

本来医療とは、患者様が希望されて治療するものなのに、歯科医師の方が患者様を誘導したり、お願いして治療してもらう関係になってきているので、この治療結果と患者様のイメージのギャップのトラブルも年々増えてきています。

6.増加する床矯正難民

最近の矯正相談でよくある相談が、長年床矯正をしているが、一向に治らないという相談です。床矯正という治療は、入れ歯のような取り外し可能の矯正装置で、安く簡単に治療できるということで今ブームになりかけています。

この床矯正という治療方法自体に問題があるというのではなく、矯正治療の経験の少ない歯科医師が、何でもかんでも床矯正治療で治そうとするから、床矯正難民が急増しているのです。

私自身、この床矯正方法を自分の治療にも取り入れているので、この治療法の長所も短所も十分に把握していますが、決して全ての患者様に治療できる方法ではないのです。

床矯正治療法を行う場合には、患者様の適応症をきちんと選択しなければ大きなトラブルになってしまうのです。

多くの矯正専門医は、床矯正治療を邪道扱いしてワイヤー矯正よりワンランク下の治療のように思っているのは、こういう何でもかんでも床矯正で治療する姿勢に対してではないかと思います。

床矯正治療が今のような普及の仕方を続けていけば、床矯正治療=低レベルの治療という図式になりかねません。

安い、簡単という理由だけで、治療を決断するのはどんなものかと考えさせられてしまいます。

患者様からのメール

36歳 男性

現在別の矯正歯科で、床矯正の治療を受けておりますが、治療が上手く行かないこともあり、最近は逆切れされることが多くなって参りました。付きましては、セカンドオピニオンを頂戴したく、一度はお伺いしたいと考えております。宜しくお願い致します。

7.デメリットの説明不足によるトラブル

矯正治療というのは、歯や歯周組織に負荷をかけて歯を動かしていきますので、それに伴うデメリットも発生してきます。それは歯医者の技術の問題である場合と不可抗力の場合とありますが、とにかくデメリットのリスクが存在していることは事実です。

患者様に「自分のクリニックで治療を受けてもらいたい」という気持ちが強くなると、「臭いものにフタ」をするようにデメリットの説明を省いてしまいます。

矯正治療をするかしないかの最終判断は患者様が下すことですから、歯科医師はその為の判断材料としてのメリットデメリットを客観的に知らせてあげる義務があります。

矯正のデメリット

1)歯槽骨(あごの骨)が減少する

歯を動かすことにより、土台であるアゴの骨にも負担はかかりますので、歯槽骨が少しは減ってきます。

 多くの場合、それが歯の寿命を短くしたり、問題が生じたりする類いのものではありませんが、歯の部分によっては、少しは食べ物が詰まりやすくなることもありますが、大抵の場合は気になる程のことではありません。

2)歯茎の退縮

1)とも関係しますが、歯槽骨が減少すれば、それに伴い歯茎も痩せてくることもありますが、歯槽骨の厚みには個人差があり、ほとんどの場合には目に見えたような歯茎の退縮はないものですが、特に前歯の歯槽骨が薄い場合には前歯の歯茎が退縮する可能性があります。

3)歯根の吸収

硬い骨の中で硬い歯を動かしていきますので、1)の歯槽骨が吸収していくのと同じように、歯根にも吸収が生じる可能性があります。

4)歯髄の切断

歯を動かしていく際に、歯の中の神経が歯の動きについていけない場合に、その歯の神経が死んでしまう場合があります。

奥歯は大きく動かすことは難しいので、歯髄が切断されることは少ないですが、前歯で移動量が大きな場合や、成人で歯髄が細い場合などには、歯髄切断が生じることがまれにあります。

矯正治療には、上記のようなデメリットの可能性もあり、メリットばかりではないことを十分考えられた上で、矯正治療をされるかどうかをご判断下さい。

一般的に言いまして、上記のデメリットの低い可能性に比べれば、治療後の多くのメリットの方が断然多く、治療後には多くの患者様が喜ばれ、矯正して良かったと感じられることとは思いますが、あまりにも過度な期待をされていたり、一切のデメリットを受け入れられない患者様には、矯正治療に対して、再度考え直されることをお勧めいたします。

矯正治療は途中で治療を中止したり、転院することが難しいので、治療を決断される前に十分ご注意下さい。

Q.矯正治療によって思い通りの歯並びになれますか?

Ans.患者様の中には、たまに、芸能人の○×さんと全く同じ歯並びにして下さいと言う方がいますが、歯の大きさや、顎の骨などの関係で、他の人と全く同じ歯並びにすることは不可能な場合がほとんどです。

「十人十色」と言いますが、歯並びも人によって美しさに違いがあります。美容整形治療で全員が松島奈々子さんになることは無理なのと同じで、その人の骨格に合った美しい歯並びというものがあるのです。

それが他の人から見て違和感があったり問題があるようでしたら困りますが、患者様の強い思い込みだけで、絶対に○×さんのような歯並びにしたいという人は、矯正治療をすることを考え直された方が懸命だと思います。そういう誤解を持って治療を行うと、治療後にトラブルになって歯科医も患者様も不幸になってしまいます。

患者様の要求や希望に最大限こたえられる努力をすることは大切なことですが、患者様の要求ばかりを優先させて、見た目の歯並びのことのみを考えて治療を行い、矯正治療後に逆に体調が悪くなるようでは、医療従事者として何のために治療を行なったのかがわからなくなってしまいます。

患者様の声には謙虚に耳を傾け、体に悪影響の出る限界線では、医師としてき然として、無理だということを説明することが大切だと思います。

患者様も、遠慮することなく自分の希望を伝えることは大切なことですが、可能なことと不可能なことの識別を、治療前にはっきりさせておいたほうが、歯科医と患者様両方にとって幸せなことだと思います。

Q.矯正を始めて歯がしみるのですが

Ans.矯正治療を始めると患者様の多くは歯ブラシをしづらくなるので、虫歯になるのではないかと心配されています。そんな時に歯がしみてくるとやっぱり虫歯になってしまったと感じてしまうみたいです。しかし歯がしみると感じるほとんどの場合は虫歯ではなく知覚過敏という症状なのです。“知覚過敏”という言葉は、テレビコマーシャルでの宣伝によって、患者様からも日常語として使われ始めているように思います。

この知覚過敏は矯正治療と関係なく、歯ぐきがやせてくると歯の根の部分が外にさらされると歯がしみてくるので、多くの人が知覚過敏の経験があるはずです。

それがなぜ矯正治療を始めると知覚過敏を感じる人が増えてくるのでしょうか?知覚過敏になりやすい人は、噛み合わせが悪くて、特定の歯にだけ力が集中して、その歯の歯ぐきがやせたり、歯の根の部分がえぐれる人と歯周病で歯ぐきがやせてくる人が一番知覚過敏になりやすいのです。

矯正治療をする人は噛み合わせも悪いので、歯の根元が外にさらされている人も多く、矯正治療中は歯をグラグラにする為に歯周病と同じ状態になるため、どうしても治療中に知覚過敏で歯がしみてくるのです。

しかし虫歯な訳ではないので、知覚過敏の治療方法と同様にフッ素ジェルを使えば1週間もしないうちに症状は消えてくるのです。ですから矯正治療中にしみる場合は殆どの場合知覚過敏症なので、虫歯だと心配することはありません。

Q.矯正治療途中に転勤があったり結婚があったり、不測の出来事があった場合はどうするのですか?

Ans.治療前にそういうことがわかっている場合は、私の診断する治療期間と、そのイベントの時期を考えて相談しますが、急に転勤などが決まった場合は、いろいろな問題が生じてきます。

まず、転勤先で、それまでに受けていた治療方法や噛み合わせの考え方が同じ歯科医院を捜さなければなりません。

厳密に言いますと、今まで述べてきたように、先生によって考え方がそれぞれ違いますので、治療途中で来院されるのは、新しい先生にとってはいろいろな意味でプレッシャーになってきます。

また、料金設定というのは、治療開始から終了までを考えて設定しています。便宜的に初めにいくらで、調整料金がいくらでと言う風に分けているところが多いのですが、途中で転院される場合に、次の医院で同じような料金設定にしてくれることは、まず無いと思います。

と言いますのも、初めの頃の治療の方が簡単で、終盤の、正しい噛み合わせを作っていく作業の方が断然難しいからです。

従って、一見の歯科医院で矯正治療を終了する場合よりも、転勤などで二件の歯科医院にまたがる方が、患者様の負担が増える場合が多いと思います。

次に矯正治療途中の結婚式ですが、原則的には、治療開始から終了まで、矯正装置は外せません。

矯正装置は、一度外してしまいますと、次に同じブラケット(歯に装着する物)を使用して装着してもかなり外れやすくなってしまいますし、それまで矯正治療で歯を動かすのに少しずつ少しずつ時間をかけてきたのに、いったん矯正装置をはずしてしまうと、元に戻るのはその何倍も早いのです。

そして、矯正治療中に歯を動かしている時には、歯はグラグラしていますが、ワイヤーで結ばれている為に痛みを感じませんが、それらを外して、1本1本の歯にしてしまうと、と、噛んだ時に歯が動きますので、とても痛いのです。

これらのデメリットを受け入れてもらえるのならば、途中で矯正装置を外すことは可能ですが、出来るだけ外さないようには勧めています。