Ans.患者さんの中には、たまに、芸能人の○×さんと全く同じ歯並びにして下さいと言う方がいますが、歯の大きさや、顎の骨などの関係で、他の人と全く同じ歯並びにすることは不可能な場合がほとんどです。
「十人十色」と言いますが、歯並びも人によって美しさに違いがあります。美容整形治療で全員が松島奈々子さんになることは無理なのと同じで、その人の骨格に合った美しい歯並びというものがあるのです。
それが他の人から見て違和感があったり問題があるようでしたら困りますが、患者さんの強い思い込みだけで、絶対に○×さんのような歯並びにしたいという人は、矯正治療をすることを考え直された方が懸命だと思います。そういう誤解を持って治療を行うと、治療後にトラブルになって歯科医も患者さんも不幸になってしまいます。
患者さんの要求や希望に最大限こたえられる努力をすることは大切なことですが、患者さんの要求ばかりを優先させて、見た目の歯並びのことのみを考えて治療を行い、矯正治療後に逆に体調が悪くなるようでは、医療従事者として何のために治療を行なったのかがわからなくなってしまいます。
患者さんの声には謙虚に耳を傾け、体に悪影響の出る限界線では、医師としてき然として、無理だということを説明することが大切だと思います。
患者さんも、遠慮することなく自分の希望を伝えることは大切なことですが、可能なことと不可能なことの識別を、治療前にはっきりさせておいたほうが、歯科医と患者さん両方にとって幸せなことだと思います。
Ans.ブラケットと呼ばれるセラミックスや金属を歯の表面につけて、ブラケットの中央の溝に針金のようなものを入れて、歯に力を加えます。
まず、力が加えられる方向の歯根膜が圧縮され、貧血状態になって、歯根膜を通過する血液が減少します。それを体が感知し、その周辺の科学的環境が変化し、細胞のパターンが変化してきます。
それは、圧縮された部分から、歯根膜に隣接する歯槽骨組織を溶かしていく破骨細胞というものが出現して、働き始めるからです。
骨を溶かすこの破骨細胞のみでは顎の骨はダメになってしまいますが、圧縮される方向と反対側の引っ張られる側では、歯根膜が引っ張られることによって膨張し、歯槽骨を新しく造っていく造骨細胞も出現し活動し始めます。
歯根膜内の血流量が減少すると、骨を溶かす破骨細胞が出現し、血流量が増加すると、骨を新たに造る造骨細胞が出現し、これらがうまくバランスをとりながら歯を動かしていくのです。
矯正治療中に、ワイヤーを外して歯を磨いてもらう時に歯がグラグラ動くので、歯が抜けるのではないかと心配する患者さんもいますが、このような過程の状態であるだけで、治療後はきちんと歯は動かないように固定されますので全く心配することはありません。
Ans.矯正治療をしている人は、早く治療を終了して欲しいと全員の方が思っていると思います。見た目も違和感も気にならなくて、治療が楽しいという人は一人もいないと思います。
それに反して、治療はだいたい月に一度のペースというのは、患者さんにとってはとてもストレスに感じられるのではないでしょうか。なぜ毎日でも治療してくれないのだろうと疑問に思っている人も少なくないと思います。
大まかな動き方を説明しますと、治療を行って一週間から10日目ぐらいまで歯は動き続け、残りの約三週間は、歯根膜と歯槽骨の再生と修復が行われているのです。
患者さんの立場からすると、初めの一週間は歯の動きを実感されえることも多いのですが、残りの期間は何のために時間を待っているのかわからず、早く歯を動かして欲しいと感じている方も多いと思います。
治療と治療の間隔を短くして、歯根膜と歯槽骨の修復過程を短縮してしまうと、歯や骨組織へのダメージを与えてしまう場合があるのです。
そのため、矯正治療は、最低でも三週間の間隔よりも頻繁に力を加えて治療することを避けるような予約の取り方をしているのです。
たとえ目に見えて動いていない時期も、今は骨が作られているのだと思ってじっと我慢してください。
Ans.矯正治療によって歯は何歳でも動きますので、年齢的に手遅れということはありません。
しかし、筋肉の運動に関しては、年齢を経ている人ほど、長年筋肉に間違った運動を教え込まれているので、矯正治療後の筋肉の回復力に若い人と比べると差が出てきます。
弾力性のある若い筋肉は、噛み合わせを正しい位置に作り変えるとすぐにその位置で正しく機能し始めますが、年齢が進むにつれて正しい噛み合わせの位置に対応することに時間がかかることがあるのです。
そして、長年間違った噛み合わせで使用された筋肉は、身体、特に頸椎のゆがみを招き、それが長い間蓄積されると、正しい噛み合わせを作っても、体の不快症状の改善が若い人ほど劇的には見られないこともあります。
ですから、手遅れということはありませんが、早い時期に治療を受けることが可能なら、若い人ほど治療結果は体に対して効果的なのです。
五十歳を超えても治療を受ける人もいますが、往々にして、年齢が進むと「今さら治療したって先は長くないし」とか「この年で治療するのは恥ずかしい」と否定的な考えの人が多く、体力の衰えのためかこれからの人生に対してもあまり前向きなことを言われない人が多いです。
治療が手遅れかどうかはその患者さんの気持ち次第だと思います。
(C)2008 minamiaoyama dental clinic