Ans.以前、某有名女流作家が矯正治療をして、テレビでそのことについて話をしていましたが、二、三年で治療が終わると言われたのに、結局五年も治療にかかってしまったとグチっていました。
当クリニックでも、三年後に留学を考えていて、治療期間は二、三年と言われたのに三年経っても全然終わりそうもなく、担当の先生にいつ終わるのかを聞いても、まだ分からない、と言われ留学に間に合わないので、今からこちらで治療してもらえないかという患者さんが来院されたことがありました。
矯正治療は、一般的に、二、三年の治療期間だと言われていますが、実際には五年も七年も治療が続いたという話や、今まで一番長かった人の話では、10年も矯正装置をつけていたという人がいました。
私のクリニックでは、ほとんどの患者さんの治療が一年ぐらいで終了しているので、五年も七年も患者さんがよく我慢してくれるなと感心してしまいます。
治療期間に差がでる要因としては、治療方法が違うことと、患者さんがこちらの指示通りに治療に協力してくれない場合のことがあります。
治療期間が短いということは、患者さんからするととても望ましいことですが、治療期間は短いけれど治療結果は不十分、では何の意味もありません。
患者さんは、前歯の見た目は自分で理解できますが、正しい噛み合わせに関しては理解できないので、前歯だけきれいにされて、早く治療を終了されたら悲惨です。
ですから、治療期間が短いということがいい治療であるということではないので、十分に気をつけて下さい。
正しい噛み合わせになっているかどうかの目安として、体調の変化を考えてみるのが一番分かりやすいと思います。
治療の終了時に、治療前よりいろいろな不快症状が良くなっている場合は、その噛み合わせが体に正しく適応して機能していると思っていいでしょう。
Ans.私の物の考え方の基本として、人間の考えることはどんなにがんばっても、自然や神様の摂理に比べれば、本当に無力であると思っています。
人間が自然を支配したとか、医学によってたいていの病気は解決できるようになったとか考えていると、後で大きなしっぺ返しを食らうことになると思っています。
矯正治療において、私の行っている歯を抜かないで治療する方法は、私が新しい噛み合わせに歯並びを治しているというよりは、その患者さんの歯がきちんと生えていればこう並んでいたという位置に並び替えているだけなのです。
一方、歯を抜いて歯並びを変える場合には、本来歯が生える位置に歯を並び替えるというよりは、歯医者の考えで新しい位置に歯を並べ、新しい噛み合わせを作り出すということなのです。
矯正治療が、美容整形と大きく違うことろは、見た目をきれいにするというだけではなく、下あごは食事をしたり、しゃべったりする機能を伴うということなのです。
見た目だけきれいにするのであれば、新しく作った噛み合わせでもなんら問題はありませんが、機能的に問題がある噛み合わせだと、見た目はいくらきれいでも何かしっくりこなかったりするものなのです。
矯正治療が見た目の回復だけでなく、噛み合わせというとても大切な機能を回復する治療であるだけに、やはりより生理的に自然に近い形で治療していくことが望まれるのです。
Ans.矯正治療の相談に行くと、歯科医院によって説明の違うことが多々ありますが、その際たるものが、矯正治療を開始する時期についてではないでしょうか。
大きく分類すると、1.乳歯の時期から正しい歯並びにしておくべきである2.乳歯と永久歯の混ざった時期から治療を始めるべきである3.永久歯が生え揃ってから治療を開始するべきである の3つに分類できます。
乳歯のときから治療するべきあり、治療時期は早ければ早いほどいいという先生もいらっしゃれば、大人の歯(永久歯)が生えそろってからの方がいいという先生もいて、患者さんからすると、行った医院でいうことが違い、困ってしまうこともあると思います。
早い時期を勧める先生の考え方は、子供の成長は日々著しいので、その成長を利用して早い時期に正しい噛み合わせを作りたいというものです。
一方、永久歯が生えそろってからがいいと考える先生は、早い時期から矯正装置をつけると治療期間が長くなってしまい、子供の歯は大人の歯に比べてとても柔らかいので、虫歯になりやすく、また、本人の治したいという意思が希薄なので、ある程度の分別が出来るようになってから、治療期間も最短で終了させるのが一番いいと考えています。
どの先生も、自分が正しいと思っている時期の治療を薦めると思いますが、後は患者さんが自分で合っていると思う時期を選べばいいと思います。
これを言われる先生は、乳歯の時期から正しい歯並びにしておけば、永久歯になった時にも正しい歯並びになる確率が高くなるから、なるべく早く矯正治療を開始するべきである、という考え方です。
この考え方は、確率が高くなるということであって、乳歯の歯並びがよければ、必ず永久歯がきちんと生えてくるというわけではありません。
したがって、乳歯で治療を始めても、永久歯で歯並びが悪くなると、患者さんからすると、何のために矯正治療をしたのかという疑問がでてきて、歯医者と患者さんの間での信頼関係がなくなってきて、疑心暗鬼になるケースも出てきます。
ですから、この時期は骨格的な不正咬合の、顎の成長や、顎のずれだけを注意して管理しながら、本格的な矯正治療は、永久歯が生えてからの方がいいのです。
この時期の治療を勧められる先生は、すでに生えている永久歯を正しい位置に動かして、今から生えようとする永久歯が正しく生えてくるように、スペースを確保しておこうという考えであり、小臼歯などを抜く場合には、筋肉や骨などが成長しているうちに、新しい咀嚼システムに馴染ませようと考えられています。
また、顎の大きさを拡大しようとする際には、完全に永久歯が生え揃う前に、歯の生えてくる歯槽骨を側方に拡大しようと考えられています。
この時期から治療を開始する場合には、最終的に全ての永久歯が生え揃ってから、正しい噛み合わせを作ることになるので、矯正治療をしている期間が長くなってしまい、子供の歯は大人に比べてかなりやわらかいので、虫歯になる危険性が高くなってくることと、子供が矯正治療に飽きてしまい、治療への協力が得られなくなる可能性がでてきます。
この時期の治療を勧められる先生の考え方は、最終的に永久歯の歯並びを治すのであれば、永久歯が生え揃ってから、矯正治療を開始すれば、矯正に要する治療期間が短く出来るので、患者さんの負担が減ると考えています。
この時期の矯正治療は、顎の成長を利用したり、咀嚼システムを変えていくというものではなく、本来正しく生えるはずだった位置に歯を並び替えれば、咀嚼システムも自然な動きになって、いい噛み合わせになるという考え方です。
どの考え方にも、それぞれ治療をしていく際のメリットとデメリットがあって、治療する先生が自分の得意な時期での矯正治療を勧められますが、それぞれの患者さんにとっての適した時期というものがありますので、総合的に見ていつがベストかは、治療する先生の知識の多さなどで、説明が違ってくると思います。
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