噛み合わせが全身の健康と密接な関係があるのは間違いのないことですが、100%全ての人の症状が治るのでないのなら、自分がその治療をして治らなかったら患者さんは時間もお金も返して欲しいと思われる人もいると思います。
私のクリニックでは、80〜90%は改善を喜ばれていますが、それでも10%近くの人はあまり変化がないといわれる方もいらっしゃるのです。私は慎重なタイプなので、患者さんと十分話し合って患者さんが納得されてからでないと、不可逆的な、削ったり後戻りのできない治療には手をつけないようにしていますので、患者さんとの間でトラブルは生じませんが、顎関節症の治療にはトラブルは付きもので、ドクターも患者さんも十分な注意が必要になってくるのです。ドクターの方は、その患者さんは治せるものなのかを慎重に診断してから判断するべきですし、患者さんもその先生の説明が納得いくものかどうかを判断してから治療にとりかかるべきです。
ガンや内臓系の手術で「成功率は50%ですけれどどうしますか」と聞かれて殆どの人は「それでもお願いします」といいますが、噛み合わせの大掛かりな治療で「よくなる確率は80%です」といわれても思いとどまる人も多くいるのは、患者さんの意識の中に、「噛み合わせのズレと体の不調が関係していないかもしれない」という疑問や不安も大きいからだとおもいます。100%の成功率でない以上、絶対治りますから治療すべきですと言えないので、信じてくれる人のみ治療をしていくしかありません。心の中では、「絶対この人治るのにな〜」と思っていても医療行為に絶対はないので、一歩一歩慎重に説明も治療も段階を追って行っています。そういう意味でも長年、医療不信、歯医者不振になっている人は、心のとびらを聞くのが一番の大仕事になってしまいます。
人間の顎は時代とともに小さくなってきています。食べ物がかたくて十分に顎を使わないと咀嚼できなかった時代には、顎が発達してがっちりしていました。しかし近年とみに、グルメブームになり食べ物の欧米化にもともない柔らかい物ほどおいしいという傾向になってきました。十分に噛まなければ顎に血液も行き届かなくなり、顎が発達しません。それに対して歯自体のサイズは全然変化が無いのです。よく噛もうが、噛むまいが、歯の大きさは昔と一緒なのです。その結果親知らずなどは、生えてくるスペースが無くなり横になって生えてきたりするのです。昔は親知らずもきちんと生えているのが当たり前だったのに今では親知らずがきちんと生えている人は殆どいないのが現状です。そのうちにもっと顎が小さくなり、その手前の歯でさえきちんとはえなくなってくるでしょう。
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