人は弱いもので、何かに依存して生きていきたがる。子供は親に頼ったり、学校の先生に頼ったり、大人でも宗教に頼ったり占いに頼ったり、何かに頼って生きたいのだ。何か失敗したり、うまくいかないことがあれば人のせいにしたくなります。
噛み合わせの治療も、本当に噛み合わせのズレが原因で七転八倒している人や日常生活まで支障のある人もいらっしゃいますし、がまんしてがんばって生きている人もいます。ほとんどの患者さんは治療後に体調の改善を喜ばれ、とても感謝してくれます。私は噛み合わせを治すことはできますが、神様ではないので、すべての患者さんの症状を100%治すことは出来ません。
人間ならば誰でも日によって疲れる日もあれば、快調の日もあります。
快調の日が普通で、疲れる日が異常だと思い込んでいる人は、その原因を噛み合わせに結びつけようとします。噛み合わせ治療前には、毎日頭痛が合ったのが治療後に数月に一度頭痛があったとしても、また噛み合わせが悪くなったと考える人は、常にベストでないと噛み合わせを原因にして逃げ込もうと考えます。これでは治るものまで治らなくなります。
人間はもっともっとと欲求があるので、10の痛みが5や3に減っても減った痛みに感謝せずに、残った痛みに頭はいきます。
私の医院では、初診時や治療後には、患者さんの言葉には極力耳を傾けるようにしています。患者さんの言葉によって、歯医者にとって当たり前の事が患者さんの視点からは、違う見方をしていたりすると、ハッとするようなこともたまにあります。
しかし、患者さんが以前の歯科医院で受けた説明をきいていると、噛み合わせ治療に関しては、本当に歯医者がこんな説明をするのだろうかと、不思議になるような説明をしている歯医者が多い事に気付きます。
それほど、噛み合わせに関しては、知らないのなら、知らないと言ってあげればいいものを、ウソの説明をされると、その説明の間違いを正していかないといけないですし、患者さんはなぜ、歯医者によって、言うことが違うのか不信に感じ始められます。
噛み合わせ治療に関しては、10人の先生がいたら10通りの説明があるぐらい考え方に違いがあることは仕方のないことなのですが、明らかに見当はずれの説明をしている歯医者の話を聞くと、その説明を信じている患者さんが可哀相になってきます。
特に「噛み合わせ治療」「矯正治療」においては、歯科医院によっては、治療レベルの違いがありすぎるので、複数の医院で相談を受ける事が大切である、といわざるをえないのが今の現状です。
例えば、ご本人は歯を大切に思って歯を削りたくはなかったので、矯正治療をするつもりだったのに、その歯医者では「噛み合わせ治療は、歯を削らないと出来ません」とか、「矯正治療は、子供の時にしないと大人では出来ません」とか説明されて、本人は、その説明を信じて、仕方なく歯を削って治療したのに、それでも治らずに当クリニックに来院され、結局、矯正治療をすることになって、前の歯医者で、何のために歯を削られたのか、わからなくなっている患者さんもいらっしゃいました。
ないとガードやスプリントなどの、歯に危害が加わらない治療なら、治療法に間違いがあっても問題はないですが、歯を削ったり、歯を抜いたりする場合は、取り返しのつかないことになってしますので、何件かのクリニックで説明を受けて、納得してから治療を受ける必要があると思います。
長年噛み合わせ治療をしてきて、噛み合わせ治療において、技術的には絶対的な自信を持てるようになってきた。私が考える正しい噛み合わせは、ほぼ間違いないのではないかと自負している。しかし治療に来られる人の改善率は100%ではない。80〜90%の改善率はあるが、10%くらいの人はあまり変化が見えないと言われる人もいるのだ。同じような噛み合わせのズレの人なのに、同じような治療をしても、治療結果に差が出ることがあるのだ。これは医学という科学的な目で考えるとどうしても納得がいかなかった。長い間この答えを捜し求めていたが、解決の糸口に精神面、メンタル面の要因が関係しているのではないかと思うようになってきた。
治らないという人達をいくつかのタイプに分けられることに気付いた。まず来院した時からこちらに敵対心、不信感など攻撃的な態度で接してくるタイプの人が一番多い。「私は病気なのだ、医者なら治せ」と言わんばかりの態度を取ってくるのだ。このタイプの人は、長年噛み合わせ治療で歯科医院を転々としていて、時間も、費用も無駄に使ってきており、歯医者に対して多くの不信感を持っており、自分でもいろんな本を読んで、多くの知識を得ている為に、人の話にも素直に耳を傾けないで、自分に都合のいい話の部分だけを勝手に解釈しようとします。話をしているだけで、こちらもとても疲れてしまい、とても信頼関係などは作れません。
自分に都合のいい話でないとまた次の歯科医院を捜し続け、結局、間違った知識だけが増え続け、一生歯医者を捜し続けるのではないかとさえ思えます。
次に依存心のとても強い人はなかなか治りません。人間の体調というのは自分の経験でしか比較できないですから、他人はみんな毎日快調に生活していると思えば、自分のちょっとした疲れとかもこれは噛み合わせの異常からくるものだと思い込んでしまうと、正常なものまで異常になってしまいます。
歯医者は病気を治す補助をするだけで、最後は自分の中で絶対治すぞ、負けないゾという気持ちが必要なのは、どの病気にもあてはまることのように思います。
最後に治療期間が長い患者さんでノイローゼ気味の人の治療はとても難しいです。長年、毎日毎日噛み合わせのズレばかり考えている人は、その期間が長い人ほど、精神的なケアも必要になってきます。これは全ての原因を噛み合わせのズレと結びつけ、風邪をひいたり、少しの疲れまで噛み合わせを原因と考え、正しい噛み合わせの人は毎日毎日が完璧なのだと信じている人は、正しい噛み合わせを作っても、精神的に強くなって、噛み合わせのことを忘れる努力をしないといけません。
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