Ans.歯科医師の仕事というのは、大学で学ぶ以上に、卒業後にどれだけ勉強したかで全く知識量が違ってくるものなのです。
大学では、殆ど基本的な部分を教えてくれるだけですから、同じ大学を出ていても、治療方法や考え方は全く違うのです。
卒業後に同じ先生の勉強会に出席しても、元のベースが違う先生では、同じ講義でも解釈の仕方が違ってくるのです。
色々な知識や技術を、自分なりにアレンジしながら治療が行われているのです。
いろいろな先生がいろいろな方法の勉強会を開いていますが、A先生の勉強会ではB先生の方法を否定していたり、Bの先生はAの先生の治療方法では治らない、と言っていたりします。
全てにおいて、同じ環境で同じように勉強している人はいないので、先生によって微妙に考え方が違ってくるのです。
歯科治療への評価は患者さんにしてもらうしかないので、実際に治療を受けた人の意見が一番正しいと思います。
ラーメン屋さんと似ていますが、同じ店で働いていた人達が、自分のお店を持ったとしても、その人たちは自分なりに工夫をしてスープを造っていきます。また工夫しないような店は、淘汰されて消えていくと思います。
歯科の世界でも、いろいろな勉強会に出たり、本から知識を得たりして、いろいろな技術や知識を得ることによって、より患者さんに満足してもらえるように頑張っているのです。
ですから、同じとんこつベースでも味が違うように、矯正治療や噛み合わせの考え方もいろいろな知識や経験がその人なりにアレンジされているので、まったく同じ考えの人はいないのです。
問い合わせてきた方に、近くの歯科医院を紹介してあげたくても、それが出来ないのは以上のような理由からなのです。
とにかくいくつかの医院に相談に行かれ、自分で判断してもらうしかないのです。
Ans.虫歯や入れ歯などの場合は、治療の方法が微妙に違っても、「なぜ歯科医院によって治療方法が違うのだろう」と実感するほどの違いが無いだけで、実はそれぞれの医院で考え方や使用する材料なども違っているのです。
しかし、噛み合わせ治療や矯正治療は、治療方法や治療結果に大きな差があるので、多くの患者さんがその違いに気付くのです。
特に噛み合わせ治療の考え方は、いろいろな理論が表れたり消えたりして、まだ統一された理論が確立されていないので、治療する先生によって、大きく考え方が違ってくるのです。
Ans.患者さんが矯正治療を望む最大の理由は、見た目の歯並びをきれいにしたいということなので、前歯だけをきれいにできればいいと考えるのは当然のことだと思います。
審美治療と割り切って考えれば、前歯だけをきれいにする矯正治療も可能です。
しかし、前歯というのは、不正な奥歯の噛み合わせの結果として見た目がガタガタに悪くなっていることなのですから、奥歯をきちんと治した方が前歯も安定して、後戻りの可能性も少なくなります。
審美治療として、歯を抜いたり削ったりすれば、見た目はきれいになりますし、歯が動いて戻る心配もないので、ワイヤーを使わない前歯だけの治療を希望される場合、矯正治療よりも歯を削って直す審美治療方法のほうが主流になっています。
しかし、奥歯の噛み合わせが悪いために結果として前歯が乱れているのですから、奥歯の正しい噛み合わせを作り、顎を正しい位置に安定させることこそ医療サイドとしては大切なことと考えています。
家が傾いているのに外観だけをきれいにしても、あまり意味のあることとは思えませんよね。
"急がば回れ"といいますが、短期のスパンで見れば、前歯だけの治療や、削ったり抜いてブリッジにする治療の方が早く治療が終わりますから、患者さんには喜ばれます。
しかし、10年、20年と長い目で人生を見ていくのであれば、正しい噛み合わせを作ることによって体調もよくなり、治療後の後戻りもなく、前歯もきれいになる、きちんとした矯正治療の方がいいと思います。
人間には、さまざまな価値観がありますので、患者さんの希望を第一優先し、それぞれの治療のメリットとデメリットを十分理解してもらって患者さんに最終決定してもらうべきだと思っていますので、どの治療を行う場合も、医師は中立の立場で、患者さんに自分の知識を知らせていくべきだと思います。
Ans.一般的に“歯並び”というのは、前歯の外見上のことを言い。“噛み合わせ”というのは、奥歯やあごのずれなど、機能面をさして表現されています。
本来は、外見の美しさと機能的に正常であることは一致していないといけないのに、現在の歯科医療では必ずしも一致していないのです。
審美歯科の治療というのは、見た目を美しくしていますが、機能的には何も変わっていないのです。むしろ、前より悪くなっていることも多いのです。
矯正治療においても、外見上はキレイになったのに体調が悪くなったりするのは、機能的には正しくないということなのです。
Ans.一般的なニュアンスして、“噛み合わせ”と言えば、奥歯の歯並びや顎の運動など機能面をイメージし、“歯並び”というと、前歯の見た目など審美面をイメージします。
本来、“噛み合わせがいい”のと“歯並びがいい”のは同じ意味でなければならないのに、外見の治療にばかり重点がおかれ、歯並びはいいけど噛み合わせは悪いということが生じていました。前歯だけを削って被せてきれいに見せる審美治療というのは、ここでいう歯並び治療の典型であって、噛み合わせ治療では断じてありません。
今までは、矯正治療でも、歯と顎の大きさが合わないために歯並びが悪くなるので、前歯のみをきれいに並べて奥歯は前方へ倒れないようにそのままの位置を維持するという治療が主流でした。
しかし、現在は、奥歯の噛み合わせが悪いから、結果的に前歯の歯並びが悪くなってしまうのだという考えが注目を浴びるようになってきました。
したがって、歯並びが悪くなる根本的な原因である奥歯の噛み合わせを正しく治せば、歯を抜かないで、前歯もきれいに並ぶという考え方が出てきました。
こういう考え方が歯科界に定着するようになれば、“噛み合わせ治療”と“歯並び治療”が同じ意味になる日もやってくると思います。
Ans.歯列矯正を希望する方の中で最も多い理由は「見た目をきれいに、かっこよくしたい」というものです。
しかし、噛み合わせが悪いということは外見だけの問題ではないのです。それは、体全体の健康にとても多大な影響を与えているのです。
考えられる噛み合わせ不良のデメリットをあげてみます。矯正治療によってこれらが解消されます。
1.顎がズレることによって、、顎関節症を起こしやすい
噛み合わせが悪いために、口が開けにくい、顎の関節に音がする、口を開けた時に、顎の関節の回りの筋肉が痛むなどの障害の原因になっています。
2.全身への悪影響が起こりやすい
顎のズレによって、噛む時に一部の筋肉に過度の負担がかかることで、肩こり、偏頭痛、首のこり、耳鳴り、眠りが浅い、ひどい生理痛、生理不順、腰痛など、全身へのさまざまな弊害が現れてきます。
3.咀しゃく障害が起こりやすい
食べ物を十分に噛み砕くことができないために栄養摂取の効率が悪くなり、唾液の効用も十分に利用できなくなり、胃腸を壊したり、消化器系への障害を引き起こしやすくなってきます。
4.劣等感を抱きやすい
歯並びが悪いことにより、大きく口を開けて笑ったり、しゃべったりすることにひけ目を感じて、性格的にも暗くなりがちです。外国人は、なぜ日本人は手を口に当ててしゃべったり笑ったりするのかと、とても不思議がります。近年は、芸能人などの影響もあって、欧米並みに歯への関心が高まっているので、深刻に歯並びの悪さを悩んで、コンプレックスになっている人は増えています。
5.発音が正しくできない
奥歯を噛みしめても、前歯が開いてしまう「開咬」の場合は「サシスセソ」などの、摩擦音が出しにくく、英語の発音には特に大きなハンディーとなります。また、「受け口」の人の発音は、大きく口が開かないために、正常な歯並びの人とは違った独特の発音になってしまいます。
6.顎の成長に異常をきたす
顎の成長が十分に進まなかったり、逆に異常に進みすぎて、顎が未発達になったり、顎がシャクれたり、顔が非対称になったりします。
7.虫歯や歯周病になりやすい
歯並びが悪いと歯の周りに汚れがたまりやすく、又歯ブラシも届きにくくなります。細菌による歯や歯肉への汚れは、虫歯や歯周病の原因となるのです。
Ans.一口に歯並びが悪いといっても、外見上悪いタイプと、一見きれいに見えるのに、噛み合せ的に悪いタイプがありますが、ここでは、外見的で判断できるタイプを列挙していきましょう。
1.出っ歯(上顎前突)
明石家さんまや久本雅美さんなどがこのタイプで、上の前歯が下の前歯より大きく前に出ている歯並びのことです。
2.受け口(下顎前突)
巨人の松井選手、アントニオ猪木さん、ヤクルトの石井選手などがこのタイプで、下の前歯が上の前歯より前に出ている歯並びです。顎がしゃくれているように見える人はこのタイプです。このタイプの人のしゃべり方は独特で、あまり口を開けずにしゃべるので、私には声を聞いただけで受け口だとわかってしまいます。
3.乱ぐい歯(叢生)
歯がデコボコしていて、八重歯などになったりしている歯並びで、矯正治療を受けに来院されるタイプでは最も多いのがこのタイプの患者さんです。
4.オープンバイト(開咬)
奥歯で噛んでも前歯が閉じないで、隙間のある噛み合わせのことです。このタイプの人は、発音時に息がもれるため、「サ行」などに発音障害が生じます。
5.顎偏位
下額が左右にズレることにより、上下の歯の中心がズレて合わなくてなってきます。これは、下額が左右のズレた位置で奥歯が噛み合っているために生じます。このタイプの人は、片方でしか噛めないとか、片方だけ頭痛や肩こりが激しいということがよく生じます。
6.ディープバイト(低位咬合)
奥歯で噛んだ時に、下の前歯が上の前歯によって半分近く隠れてしまうような噛み合わせのことです。下の歯が完全に隠れている人もいて、下の歯の隠れ方が多い人ほど問題があります。
これらの分類は、読者に分かりやすくするために便宜的に分けていますが、実際にはこれらのいくつかが重複していたりすることが多く、また、外見上はほとんど問題ないのに、よく調べてみると、噛み合わせに問題があることもよくあるのです。
そのため、ある歯科医院では「きれいな歯並びですね」と言われたのに、他の歯科医院では「噛み合わせに問題がありますね」と言われることが生じるのです。
外見上でのみ判断してしまう歯科医院も多く、機能的な面での診断を下せる訓練を受けていないので、正しい噛み合わせと見た目の歯並びを混同してしまう結果を招いてしますのだと思います。
Ans.矯正のワイヤーを通じて歯に力を加えれば、歯と顎の骨の間にある、クッションの動きをする歯根膜を圧迫することにより、歯根膜炎という炎症状態になり、痛みが生じます。
この痛みには個人差があるので「すごく痛い」と感じる人もいれば、「軽い違和感程度」と感じる人もいます。闘値といって、痛みを感じる値には個人差があるのと、歯の初めの状態はそれぞれ違うので、人によって感じ方が違ってくるのです。
一般的には、治療した日から二、三日は、違和感や痛みがある方が多く、それ以後次の治療までの間は普通に生活できます。
一番大変なのは、初めて矯正装置をつけてから一週間は、何を食べてもと言いますか、互いの歯が触れただけで、石を噛んだ時のように感じてしまうことです。
正常な時は、噛む方向にだけ力が加わっていたのが、矯正装置をつけて歯に力を加えることによって噛む方向以外にも力が加わるために、歯が触れただけで痛くなるのです。
これは、新しい方向に力をかける時、それまでゼロだった力が一に変わるときに感じることですが、一から二や三になる時には、初めのように痛みを感じることはありません。何事も初めの一歩が一番大変なのです。
終わりが近づくにつれて、歯を動かす量も減ってくるために痛みや違和感もほとんどなくなってきます。
痛いといっても歯と歯が触れたときだけですし、歯を抜いたり、歯の神経をとる時のような持続的な痛みではないですから、必要以上の心配はいりません。
Ans.ワイヤー(主線)・・・ワイヤーには、初期頃(○日〜三ヶ月目)に装着する物で、形状記憶合金のものを含め、切断するとその形が丸いラウンドワイヤーと、後半期に使用し、矯正治療のメインになる切断面が長方形のレクタングルワイヤーがあります。ラウンドワイヤーの働きとしては、前後、左右へ平面的に歯を動かす働きをします。このワイヤーだけで、ぱっと見の歯並びは結構きれいになるものなのです。
レクタングルワイヤーでは、三次元的に、上下も含めて立体的に歯を動かしていきます。平面的に見た目がきれいになっても、上下の噛み合わせが一致していなかったり、顎のまわりの筋肉の運動と合っていなければ、歯はただの飾り物になってしまうので、このレクタングルワイヤーが矯正治療の主役なのです。
ブラケット・・・なぜかわかりませんが、患者さんはこの装置のことをブリッジと間違えて呼ぶ人が多いです。
ブラケットの真ん中には、ワイヤーより少しだけ大きいスペースの溝があります。ここにワイヤーを入れて歯を動かしていくのです。
ブラケットの溝がワイヤーより少しだけ大きいのは、多少の遊びがないと歯が思ったより極端に動きすぎてしまったり、それに伴って多くの痛みを発する原因になったりして、治療にいろいろ問題が出てくるためです。
ブラケットの種類には、金属の物、セラミック製の物、レジン製の物などがあります。外見の問題を除けば、金属製のブラケットが、強度、接着力、ワイヤーとの摩擦関係など、全てにおいて優れています。
バンドのブラケット・・・矯正治療を始める前に金属やセラミックの被せ歯が入っている歯や、一番奥の歯で、ブラケットが外れたら困る箇所にバンドのブラケットを装着します。
バンドの場合、まず外れることがないので、以前は全ての歯にバンドのブラケットをつけて治療をしていた時代がありましたが、歯に使う接着剤の飛躍的な進歩によって、今はなるべくバンドのブラケットを使うことは避けられ、限られた歯にだけ使用し、極力普通のブラケットを使って矯正治療をするようになっています。
Ans.以前、某有名女流作家が矯正治療をして、テレビでそのことについて話をしていましたが、二、三年で治療が終わると言われたのに、結局五年も治療にかかってしまったとグチっていました。
当クリニックでも、三年後に留学を考えていて、治療期間は二、三年と言われたのに三年経っても全然終わりそうもなく、担当の先生にいつ終わるのかを聞いても、まだ分からない、と言われ留学に間に合わないので、今からこちらで治療してもらえないかという患者さんが来院されたことがありました。
矯正治療は、一般的に、二、三年の治療期間だと言われていますが、実際には五年も七年も治療が続いたという話や、今まで一番長かった人の話では、10年も矯正装置をつけていたという人がいました。
私のクリニックでは、ほとんどの患者さんの治療が一年ぐらいで終了しているので、五年も七年も患者さんがよく我慢してくれるなと感心してしまいます。
治療期間に差がでる要因としては、治療方法が違うことと、患者さんがこちらの指示通りに治療に協力してくれない場合のことがあります。
治療期間が短いということは、患者さんからするととても望ましいことですが、治療期間は短いけれど治療結果は不十分、では何の意味もありません。
患者さんは、前歯の見た目は自分で理解できますが、正しい噛み合わせに関しては理解できないので、前歯だけきれいにされて、早く治療を終了されたら悲惨です。
ですから、治療期間が短いということがいい治療であるということではないので、十分に気をつけて下さい。
正しい噛み合わせになっているかどうかの目安として、体調の変化を考えてみるのが一番分かりやすいと思います。
治療の終了時に、治療前よりいろいろな不快症状が良くなっている場合は、その噛み合わせが体に正しく適応して機能していると思っていいでしょう。
Ans.私の物の考え方の基本として、人間の考えることはどんなにがんばっても、自然や神様の摂理に比べれば、本当に無力であると思っています。
人間が自然を支配したとか、医学によってたいていの病気は解決できるようになったとか考えていると、後で大きなしっぺ返しを食らうことになると思っています。
矯正治療において、私の行っている歯を抜かないで治療する方法は、私が新しい噛み合わせに歯並びを治しているというよりは、その患者さんの歯がきちんと生えていればこう並んでいたという位置に並び替えているだけなのです。
一方、歯を抜いて歯並びを変える場合には、本来歯が生える位置に歯を並び替えるというよりは、歯医者の考えで新しい位置に歯を並べ、新しい噛み合わせを作り出すということなのです。
矯正治療が、美容整形と大きく違うことろは、見た目をきれいにするというだけではなく、下あごは食事をしたり、しゃべったりする機能を伴うということなのです。
見た目だけきれいにするのであれば、新しく作った噛み合わせでもなんら問題はありませんが、機能的に問題がある噛み合わせだと、見た目はいくらきれいでも何かしっくりこなかったりするものなのです。
矯正治療が見た目の回復だけでなく、噛み合わせというとても大切な機能を回復する治療であるだけに、やはりより生理的に自然に近い形で治療していくことが望まれるのです。
Ans.矯正治療の相談に行くと、歯科医院によって説明の違うことが多々ありますが、その際たるものが、矯正治療を開始する時期についてではないでしょうか。
大きく分類すると、1.乳歯の時期から正しい歯並びにしておくべきである2.乳歯と永久歯の混ざった時期から治療を始めるべきである3.永久歯が生え揃ってから治療を開始するべきである の3つに分類できます。
乳歯のときから治療するべきであり、治療時期は早ければ早いほどいいという先生もいらっしゃれば、大人の歯(永久歯)が生えそろってからの方がいいという先生もいて、患者さんからすると、行った医院でいうことが違い、困ってしまうこともあると思います。
早い時期を勧める先生の考え方は、子供の成長は日々著しいので、その成長を利用して早い時期に正しい噛み合わせを作りたいというものです。
一方、永久歯が生えそろってからがいいと考える先生は、早い時期から矯正装置をつけると治療期間が長くなってしまい、子供の歯は大人の歯に比べてとても柔らかいので、虫歯になりやすく、また、本人の治したいという意思が希薄なので、ある程度の分別が出来るようになってから、治療期間も最短で終了させるのが一番いいと考えています。
どの先生も、自分が正しいと思っている時期の治療を薦めると思いますが、後は患者さんが自分で合っていると思う時期を選べばいいと思います。
1.乳歯の時期から治療を始めるべきである
これを言われる先生は、乳歯の時期から正しい歯並びにしておけば、永久歯になった時にも正しい歯並びになる確率が高くなるから、なるべく早く矯正治療を開始するべきである、という考え方です。
この考え方は、確率が高くなるということであって、乳歯の歯並びがよければ、必ず永久歯がきちんと生えてくるというわけではありません。
したがって、乳歯で治療を始めても、永久歯で歯並びが悪くなると、患者さんからすると、何のために矯正治療をしたのかという疑問がでてきて、歯医者と患者さんの間での信頼関係がなくなってきて、疑心暗鬼になるケースも出てきます。
ですから、この時期は骨格的な不正咬合の、顎の成長や、顎のずれだけを注意して管理しながら、本格的な矯正治療は、永久歯が生えてからの方がいいのです。
2.乳歯と永久歯の混ざった時期から治療を始めるべきである
この時期の治療を勧められる先生は、すでに生えている永久歯を正しい位置に動かして、今から生えようとする永久歯が正しく生えてくるように、スペースを確保しておこうという考えであり、小臼歯などを抜く場合には、筋肉や骨などが成長しているうちに、新しい咀嚼システムに馴染ませようと考えられています。
また、顎の大きさを拡大しようとする際には、完全に永久歯が生え揃う前に、歯の生えてくる歯槽骨を側方に拡大しようと考えられています。
この時期から治療を開始する場合には、最終的に全ての永久歯が生え揃ってから、正しい噛み合わせを作ることになるので、矯正治療をしている期間が長くなってしまい、子供の歯は大人に比べてかなりやわらかいので、虫歯になる危険性が高くなってくることと、子供が矯正治療に飽きてしまい、治療への協力が得られなくなる可能性がでてきます。
3.永久歯が生え揃ってから治療を始めるべきである
この時期の治療を勧められる先生の考え方は、最終的に永久歯の歯並びを治すのであれば、永久歯が生え揃ってから、矯正治療を開始すれば、矯正に要する治療期間が短く出来るので、患者さんの負担が減ると考えています。
この時期の矯正治療は、顎の成長を利用したり、咀嚼システムを変えていくというものではなく、本来正しく生えるはずだった位置に歯を並び替えれば、咀嚼システムも自然な動きになって、いい噛み合わせになるという考え方です。
どの考え方にも、それぞれ治療をしていく際のメリットとデメリットがあって、治療する先生が自分の得意な時期での矯正治療を勧められますが、それぞれの患者さんにとっての適した時期というものがありますので、総合的に見ていつがベストかは、治療する先生の知識の多さなどで、説明が違ってくると思います。
Ans.患者さんの中には、たまに、芸能人の○×さんと全く同じ歯並びにして下さいと言う方がいますが、歯の大きさや、顎の骨などの関係で、他の人と全く同じ歯並びにすることは不可能な場合がほとんどです。
「十人十色」と言いますが、歯並びも人によって美しさに違いがあります。美容整形治療で全員が松島奈々子さんになることは無理なのと同じで、その人の骨格に合った美しい歯並びというものがあるのです。
それが他の人から見て違和感があったり問題があるようでしたら困りますが、患者さんの強い思い込みだけで、絶対に○×さんのような歯並びにしたいという人は、矯正治療をすることを考え直された方が懸命だと思います。そういう誤解を持って治療を行うと、治療後にトラブルになって歯科医も患者さんも不幸になってしまいます。
患者さんの要求や希望に最大限こたえられる努力をすることは大切なことですが、患者さんの要求ばかりを優先させて、見た目の歯並びのことのみを考えて治療を行い、矯正治療後に逆に体調が悪くなるようでは、医療従事者として何のために治療を行なったのかがわからなくなってしまいます。
患者さんの声には謙虚に耳を傾け、体に悪影響の出る限界線では、医師としてき然として、無理だということを説明することが大切だと思います。
患者さんも、遠慮することなく自分の希望を伝えることは大切なことですが、可能なことと不可能なことの識別を、治療前にはっきりさせておいたほうが、歯科医と患者さん両方にとって幸せなことだと思います。
Ans.ブラケットと呼ばれるセラミックスや金属を歯の表面につけて、ブラケットの中央の溝に針金のようなものを入れて、歯に力を加えます。
まず、力が加えられる方向の歯根膜が圧縮され、貧血状態になって、歯根膜を通過する血液が減少します。それを体が感知し、その周辺の科学的環境が変化し、細胞のパターンが変化してきます。
それは、圧縮された部分から、歯根膜に隣接する歯槽骨組織を溶かしていく破骨細胞というものが出現して、働き始めるからです。
骨を溶かすこの破骨細胞のみでは顎の骨はダメになってしまいますが、圧縮される方向と反対側の引っ張られる側では、歯根膜が引っ張られることによって膨張し、歯槽骨を新しく造っていく造骨細胞も出現し活動し始めます。
歯根膜内の血流量が減少すると、骨を溶かす破骨細胞が出現し、血流量が増加すると、骨を新たに造る造骨細胞が出現し、これらがうまくバランスをとりながら歯を動かしていくのです。
矯正治療中に、ワイヤーを外して歯を磨いてもらう時に歯がグラグラ動くので、歯が抜けるのではないかと心配する患者さんもいますが、このような過程の状態であるだけで、治療後はきちんと歯は動かないように固定されますので全く心配することはありません。
Ans.矯正治療をしている人は、早く治療を終了して欲しいと全員の方が思っていると思います。見た目も違和感も気にならなくて、治療が楽しいという人は一人もいないと思います。
それに反して、治療はだいたい月に一度のペースというのは、患者さんにとってはとてもストレスに感じられるのではないでしょうか。なぜ毎日でも治療してくれないのだろうと疑問に思っている人も少なくないと思います。
大まかな動き方を説明しますと、治療を行って一週間から10日目ぐらいまで歯は動き続け、残りの約三週間は、歯根膜と歯槽骨の再生と修復が行われているのです。
患者さんの立場からすると、初めの一週間は歯の動きを実感されえることも多いのですが、残りの期間は何のために時間を待っているのかわからず、早く歯を動かして欲しいと感じている方も多いと思います。
治療と治療の間隔を短くして、歯根膜と歯槽骨の修復過程を短縮してしまうと、歯や骨組織へのダメージを与えてしまう場合があるのです。
そのため、矯正治療は、最低でも三週間の間隔よりも頻繁に力を加えて治療することを避けるような予約の取り方をしているのです。
たとえ目に見えて動いていない時期も、今は骨が作られているのだと思ってじっと我慢してください。
Ans.矯正治療によって歯は何歳でも動きますので、年齢的に手遅れということはありません。
しかし、筋肉の運動に関しては、年齢を経ている人ほど、長年筋肉に間違った運動を教え込まれているので、矯正治療後の筋肉の回復力に若い人と比べると差が出てきます。
弾力性のある若い筋肉は、噛み合わせを正しい位置に作り変えるとすぐにその位置で正しく機能し始めますが、年齢が進むにつれて正しい噛み合わせの位置に対応することに時間がかかることがあるのです。
そして、長年間違った噛み合わせで使用された筋肉は、身体、特に頸椎のゆがみを招き、それが長い間蓄積されると、正しい噛み合わせを作っても、体の不快症状の改善が若い人ほど劇的には見られないこともあります。
ですから、手遅れということはありませんが、早い時期に治療を受けることが可能なら、若い人ほど治療結果は体に対して効果的なのです。
五十歳を超えても治療を受ける人もいますが、往々にして、年齢が進むと「今さら治療したって先は長くないし」とか「この年で治療するのは恥ずかしい」と否定的な考えの人が多く、体力の衰えのためかこれからの人生に対してもあまり前向きなことを言われない人が多いです。
治療が手遅れかどうかはその患者さんの気持ち次第だと思います。
Ans.これも歯科医院によって考え方がいろいろあるので、行く歯科医院によって全く逆のことを言われて困ってしまう患者さんをよく見かけます。
ここでは、始める時期によるメリットとデメリットをお話します。
基本的には、早い時期に正しい噛み合わせを作っておくことがいいです。
しかし、たとえば、乳歯の時にきちんとした歯並びの人でも、永久歯になると問題のある歯並びになることもありますし、逆に乳歯の時は悪い歯並びの子供が、永久歯では問題のない歯並びになることもあります。
もちろん、確率的には、乳歯の時にきちんとした歯並びの子供の方が永久歯もきちんと並ぶ確率は高いのですが、乳歯の時から矯正治療を始め、永久歯が全て生えそろうまでの間治療を続けますと、矯正期間がとても長くなります。
それに伴い治療費も高くなり、子供の精神的ストレスもたまり、虫歯へのかかりやすさも高くなってしまうというデメリットが出てくるのです。
乳歯がある早い時期に矯正治療を始めても、短期間で治療が終了し、費用的にも安く終わりそうで、子供の治したいという気持ちが強ければ、早く治療を始めてもいいと思います。
特に子供の頃の歯というのはまだ完成していないために、大変虫歯になりやすく、長期間に及ぶ矯正治療は、十分に虫歯に対する管理に気をつけないといけないので、できれば避けたいところです。
永久歯が生えそろってからの矯正治療のメリットは、治療期間が最短で終えられることと、本人の治療したいという意志が子供の時より強いため、矯正治療に対する協力度が高く期待できることです。
デメリットとしては、完全に成人になってしまった場合、骨や筋肉の成長が期待できないので、骨格的な問題に対する治療には限界があることです。
一般的にいって、乳歯の時期や10歳ぐらいまでの子供の矯正治療では、予防的な意味合いが強い矯正治療にになりますが、12歳以降の大人を含めた矯正治療は、全ての大人の歯を利用した本格的な矯正治療になります。
それぞれの患者さんによって、求めるものや、おかれている立場、環境など条件が違っていますので、メリットとデメリットを十分考えて、患者さん自身が選択して欲しいと思います。
Ans.芸能人は、有名でお金があるから、特別の治療をしていると思っている人が多いのにはびっくりしてしまいます。そして噂というものが、いかにいい加減なものかということもよくわかります。
歯並びの悪い芸能人は、まずほとんどが、歯を抜いたり、削ったり、被せたりして、見た目の歯並びをきれいにしていますが、噛み合わせに関しては一切変えていないので、体調の改善や顎関節症の治療とは関係なく、美容整形と同じ扱いの治療になります。
彼(彼女)らの治療は、矯正治療に比べて、削ったりするので治療が早く終了して、人が気づいた時には治っているというメリットがあります。
しかし、歯を抜いたり、削ったりしているので歯や体にとってはいいことではありません。
削ったりする治療も、治療してすぐに問題が出ることは少なく、治療後10年、20年経った時に、歯の堅さも弱くなり、虫歯になりやすくなったり、歯が折れやすくなったりします。顔が商売道具の特殊な職業の人達なので、人に気づかれないように短期間で治療を終了することが大切なので、美容的なことのみを考えた、歯を抜いたり、削ったり、被せたりする治療も仕方のないことだと思います。
人によって価値観は違いますから、体調が良くなるからといって、矯正治療を押しつけるわけにはいきません。
当クリニックにおいてもデビュー前に歯並びと色をきれいにするように所属事務所から言われて治療を希望して来院する人がいます。職業が一般の人と全然違いますので、患者さんの希望通り、短期間で人に気づかれずにきれいに見えるように審美治療を行ないます。
歯を抜いたり、削ったりする治療を希望される患者さんには、そのデメリットも十分にお話した上で、それでもよければ治療を行ない、治療した以上は少しでも長くいい状態で使用していただけるように十分なアフターケアをしていくようにしています。
八重歯の芸能人が八重歯を抜くと人気が落ちる、と言う占い師や歯科医師がいますが、それは、審美治療によって噛み合わせが悪くなり、体調が悪くなってしまうということが起こりうると言いたいのだと思います。
長い目で人生を考えられている方には、できれば、安易に歯を削ったり、抜いたりして見た目だけを良くするのではなく、正しい噛み合わせを作り、体調も見た目もよくなるように矯正治療を選択して欲しいですね。
Ans.矯正治療と一口に言っても行なっている歯科医院でやり方が違うということを、患者さんは不思議に思われます。
虫歯の治療でさえ、クリニックによって微妙に方法や考え方が違うのですから、大きく噛み合わせを変えていく矯正治療ではその治療方法や治療結果に大きく違いが出てきます。
大きく分けて、治療器材や材料によるハード面の違いと、噛み合わせというソフト面での考え方の違いがあります。
まず、治療器材や材料による違いとして、金属の装置で治療をしていくのか、目立たないセラミックで治療していくのかの違いがあります。金属の場合は、丈夫で壊れたり外れたりしにくいので、治療中のトラブルは少ないのですが、目立つのが難点です。
セラミックの場合は、金属に比べて、壊れたり外れたりしやすいので、結果的に、治療期間が少し長くなってしまう場合もあり、料金的にも金属よりは割高になりますが、目立たないことが最大のメリットです。
目立たないといえば、最近では歯の裏側に矯正装置をつけて治療を行なう、舌側矯正法という方法が注目を集めています。
この舌側矯正法は、人から気づかれずに治療を行なえるというのが最大のメリットですが、治療中はとてもしゃべりにくく、舌が傷だらけになってしまうことや、表から行なう矯正よりも治療期間が長くなってしまうことと、料金がかかってしまうことが欠点です。そして舌側矯正法の場合、多くのケースで、小臼歯を抜歯しないといけないのが最大の欠点です。
次に、骨の成長を抑制するヘッドギアやチンキャップという、頭にかぶる物を使用するのか使用しないのかを治療前に確認しておかないと、後になってこんなものはつけられないということになって、トラブルにもなりかねません。特に大人の場合は、社会生活的にもヘッドギアを受け入れられるのかどうかを確認しておく必要があります。
そして、歯を抜く必要があるのかないのか、外科的手術をする必要があるのかないのかは、歯科医院によって診断が違いますので、治療前にいくつかの歯科医院で相談してみて下さい。
さらに、噛み合わせのゴールに対する考え方は歯科医院によって大きく違いますから、これが最も重要になってきます。
富士山に登るには、車、バイク、自転車、徒歩と、どれがいいかは、早く到達したい人、自分の足で登りたい人など、人の価値観によって違いますので、どの手段が正しいということはないと思います。
治療方法も、どの方法で治療しても正しい噛み合わせが作られるのなら問題はないと思います。
矯正治療におけるゴールは、見た目的にも機能的にも正しい位置に噛み合わせを作ることです。これが、見た目はいいが、機能的には問題があるとすれば、どの治療方法で治療しても患者さんは最終的に満足されないでしょう。
その先生がどういう噛み合わせを正しいと考えているかでゴールが違ってくるのです。噛み合わせの考え方に、唯一絶対の統一された概念がない以上、その先生の治療経験や向学心で治療結果に大きな違いが出てきます。
その意味でも、できれば、治療を受けた人の感想を聞いて、治療するクリニックを選ばれることをお勧めします。
Ans.人の気持ちはちょっとしたことで変わりますし、三日坊主というように、途中でやる気がなくなってしまうこともあります。
しかし、矯正治療の場合は、途中でやめたら、それまでの時間も費用も全て無駄になってしまうのです。
全て終了していい噛み合わせになるか、元のように戻ってしまうかの二通りしかありません。
三ヶ月治療したから三ヵ月分だけきれいになる、ということはないのです。オール・オア・ナッシングなのです。
大人が自分の意志で決断して矯正治療を始めた場合は途中でやめる人はいませんが、親が治療を希望して強制的に子供に治療をさせる場合は、子供が途中で嫌になってしまうこともあり、最後まで治療するためにいろいろ説得しながら治療を続けていくのが大変な場合もあります。
子供の時に矯正治療を行なうのは、顎や体の成長を利用できる点は利点なのですが、自分の意志で治療したいという気持ちが弱いのは、最大の欠点になります。
また、結婚式やその他のイベントで、一時的にでも途中で矯正装置を外すということは不可能ではないのですが、いろいろな意味で無駄が増えてきますので、そういうイベントに治療が間に合いそうもない時は、イベントを終えてからスタートする方が賢明だと思います。
矯正治療終了後に患者さんに感想を聞くと、「すごく大変だった」という人もいれば「思ったほど大変ではなかった」という人もいるので、必要以上に心配することはないと思いますが、心掛けとして、大変な治療を一年近くするのだという覚悟をある程度しておくことが大切です。
Ans.せっかく歯並びはきれいになったのに、矯正治療が終了したら虫歯だらけになってしまったのでは、何のために矯正治療をしたのか分からなくなってしまいます。
大人の場合、歯の成長は完成されていますので、エナメル質が十分残っている人は、虫歯の心配はほとんどありません。が、子供の場合は歯がまだ成長途中で柔らかいため、虫歯には十分に気をつけないといけません。
人間の体は、口の中に異物があると唾液が多く出るようにできていますので、矯正期間中は、治療の器具が口に入っているので、唾液が増え、口の中が酸性になりにくいというメリットはありますが、気をつけて歯を磨かなければならないことに変わりはありません。
注意して欲しい項目をいくつかあげてみましょう。
1.普段より小さい歯ブラシを使う
どうしても矯正装置が邪魔をして、完全に汚れを取り除くことは難しいので、小さい歯ブラシを使うことによってより隅々まできれいにするようにしてもらいます。
2.歯間ブラシを使う
デンタルフロスを使っている人の方が多いと思いますが、矯正治療中は歯が動いているために、歯と歯の間にすき間ができているので、デンタルフロスよりも歯間ブラシの方が使いやすいと思います。普段は頬の側から使用するものですが、矯正装置で入れにくい箇所は、歯の内側からでも入りますので、入れやすいほうから使用してください。
3.フッ素ジェルか、クロルヘキシジンを使う
どんなに気をつけて磨いても、矯正装置やワイヤーなどが邪魔をして、完全に汚れを取り除くことは無理なので、虫歯になりやすい人にはフッ素ジェルを使ってもらい、歯肉炎や歯周炎になりやすい人には、クロルヘキシジンを使ってもらうと効果的です。
普段、矯正装置がついていない人に対しては、あくまで、歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスといった物理的に汚れを取り除く手段に重点をおいて指導しています。
しかし矯正治療中の患者さんには、補助的な手段として、フッ素ジェルやクロルヘキシジンを使っていただくことによって、歯ブラシなどで取り除けなかった細菌を減らす努力をしてもらっています。
Ans.顔が左右非対称になったり、ゆがんだりする最大の原因は、噛み合わせが左右均等になっていないために、左右の筋肉の収縮率に差が出ることにあるのです。
顎が右に強く引っ張られる噛み合わせの人は顔が右にゆがみますし、左に引っ張られる人はその逆になります。
出っ歯の人は、顎が小さく見え、二重顎のように見られやすいですし、受け口の人は顎がしゃくれた口元になってきます。
子供時代から成長期に悪い噛み合わせが続き、顎や頭蓋の骨の成長が間違った方向に促進されたり、抑制されたりしている場合には、大人になってから骨を削ったりする美容整形的な外科手術が必要になります。
しかし、正しい噛み合わせを作り、左右、前後の筋肉の収縮率を同じにすることと、ストレッチのような顎の運動を併用することによって、ほぼ対称的な顔に戻るのです。
口のまわり、顎のまわりの筋肉の運動を正しくすることによって、口元のみならず、顔のゆがみや輪郭もまっすぐに戻ってくるのです。
Ans.歯並びが悪くなるのは、全て遺伝が原因だと思っている人が多いですが、実際には遺伝的要因以上に、悪い生活習慣によって生じている場合が多いのです。
1.口呼吸をする
酸素を吸うということに関しては、鼻でも口でも同じことのように感じますが、実際には口で呼吸をすることは、細菌を多く体内に入れてしまい、体の免疫力が弱くなってきます。
そして歯並びにも多大な悪影響を及ぼします。
歯は口元の筋肉が内側に押し、舌が外側に歯を押して、バランスのとれた位置に歯を並べようとします。
それが口で呼吸していますと、口を閉じる筋肉の成長が十分に発達せず、俗に言う「しまりのない口元」になり、歯も前方へ出気味になります。
2.指をしゃぶる
幼児には赤ちゃんの時のなごりとして、指をしゃぶる癖があります。
ある時期は、この習慣は仕方のないことなのですが、この指をしゃぶる癖が長く続きますと、前歯が出っ歯になってしまいます。
3.舌を前歯でかむ(舌を押し出す)
舌を前方に押し出したり、前歯で噛む悪い習慣がつくと、奥歯で噛み合わせても前歯でかみ合わない開口という噛み合わせになってしまいます。
4.頬杖をついてテレビを見る(勉強する)/片方ばかり向いて寝る
左右どちらかの顎にだけに力がかかるような生活習慣をしていますと、歯や顎の成長に左右差が出てきて当然歯並びにも問題が生じてきます。
Ans.最近は、患者さんの方から「歯列矯正はしない方がいいと聞きましたが、どうなんでしょうか?」とか「私の友達で、矯正治療後に体調が悪くなった人がいるのですが、矯正治療の影響なのですか?」と質問してくることがあり、一部の人の間で歯列矯正治療に関する好ましくない噂が広まっていることは間違いのないことのようです。
以前に大手の新聞が社会面で矯正治療のことを悪く書いていたことには驚きました。
最近でも、TVや本で矯正治療や審美治療後に体調を壊した患者さんの特集を組んだりするのを目にすることが多くなってきました。
歯科医師の中にも、噛み合わせに重点をおいて治療をしている先生の中に、矯正治療を否定的に考えている人もいます。
しかし、安易に矯正治療を行なったり、噛み合わせの考え方に間違いがある歯科医が矯正治療を行なう場合に問題が生じるのであって、本来は、正しい矯正治療を行なうことによって、外見だけでなく体調も改善されて機能的にも良くなるのです。
これ以上矯正治療が誤解されないように、歯止めをかけるためにも、一人一人の歯科医師は、慎重に矯正治療や噛み合わせ治療を行なっていかなければならない時がきていると思います。
Ans.ワイヤーで歯を動かして矯正治療をした後、歯の裏側に針金のような物を固定して、歯を動かないようにしたり、入れ歯のような取り外せる物を口の中に装着して、歯をその位置に固定する時期を、保定期間といいます。
裏側で固定していた針金が外れたり、保定装置を指示通りに装着しなかったりすると、歯は動いて戻ろうとします。
しかし、何年間も保定をしていたのに歯が動いて戻ってしまう最大の原因は、噛み合わせが安定しないで、顎のまわりの筋肉の動きと歯の並んでいる位置が一致していないということなのです。
見た目の歯並びをきれいにすることは、そんなに難しくありませんが、顎の運動に合わせた位置に噛み合わせを作っていくことはとても難しく、それができれば歯の後戻りも生じなくなります。

